2024年、拡張現実(AR)と複合現実(MR)の技術は、私たちの日常生活やビジネスシーンを一新する速度で進化しています。これからAR・MR技術を導入しようと考えている方、または最新のトレンドを追いかけたい方はぜひご覧ください!
【AR・MR・VRの基礎知識】
近年、デジタル技術の進化とともに、ARやMR、VRが注目を集めています。これらの技術は私たちの生活やビジネスに革新をもたらす可能性を秘めていますが、多くの人々にとって、これらの概念はまだ新しく、特にVR(仮想現実)との違いが明確でないことがあります。
AR(拡張現実)
AR技術は、現実の環境にデジタル情報やオブジェクトを重ね合わせることで、ユーザーの現実感覚を拡張します。スマートフォンやタブレット、専用のARメガネを通じて、現実世界の画像に仮想的な要素が加えられます。例えば、スマートフォンやタブレットのカメラを通して見ると、画面上には実際には存在しないオブジェクトや情報が映し出されるのです。ARは、教育、小売、ゲーム業界など多岐にわたる分野で利用されています。
MR(複合現実)
MRはARをさらに進化させた形態と言えます。MRでは、現実世界とデジタル世界が融合し、仮想オブジェクトが現実世界の物理法則に従って動作します。これにより、ユーザーは現実世界のオブジェクトと仮想オブジェクトの両方と対話することが可能になります。MRの技術は、特に製造業、設計、医療分野でのトレーニングやシミュレーションツールとして有効活用されています。
VR(仮想現実)
VR技術は、ユーザーを完全に仮想の環境に没入させます。これは、ヘッドセットや専用のルームを使用して、視覚的および聴覚的に現実から隔離された環境を提供することにより実現されます。VRは、エンターテイメントから教育、訓練まで幅広い用途で活用されており、ユーザーに全く新しい体験を提供します。
今回はAR・MRデバイスの中から特に注目すべき製品をピックアップし、紹介していこうと思います。
- 2024年注目のARグラス・MRデバイス 5選
- ①Apple 『Vision Pro』
- ②Microsoft 『Hololens2』
- ③Meta『Meta Quest 3』
- ④HTC『VIVE XR Elite』
- ⑤Pico『Pico 4』
2024年注目のARグラス・MRデバイス 5選
①Apple 『Vision Pro』
Vision Proは、従来のディスプレイの枠を超えて広がるアプリのための無限のキャンバスを作り出し、ユーザーの目と手、声という、最も自然で直感的な操作方法によって、完全に3次元化されたユーザーインターフェイスを実現します。世界初となる空間オペレーティングシステム、visionOSを搭載したVision Proにより、まるでデジタルコンテンツが自分のいる空間に物理的に存在しているかのように楽しむことが可能となります。
画期的なデザインを備えたVision Proの大きな特長は、あらゆる体験がユーザーの目の前でリアルタイムに起こっているように感じさせる、2つのディスプレイに2,300万ものピクセルを詰め込んだ超高解像度のディスプレイシステムと、独自に設計されたデュアルチップを備えたカスタムのAppleシリコンを搭載していることです。
驚くべき新たな体験
Apple Vision Proはパワフルなパーソナルコンピューティングに新たな次元をもたらし、ユーザーがお気に入りのアプリを使ったり、思い出に残る瞬間を記録して振り返ったり、息を呑むようなテレビ番組や映画を楽しんだり、FaceTimeで家族や友人とつながる方法を一変させます。
職場や自宅でアプリに無限のキャンバスを
visionOSはアプリをディスプレイの枠から解き放つ3Dのインターフェイスを備えているため、アプリを好きな大きさで並べて表示することが可能です。Apple Vision Proのどこまでも広がる画面領域、お気に入りのアプリへのアクセス、マルチタスキングのためのまったく新しい方法を活用して、ユーザーはこれまで以上に生産性を高めることができます。さらにMagic KeyboardとMagic Trackpadにも対応しているので、驚くほど鮮明に文字を映し出し、簡単に持ち運びのできる広大でプライベートな4Kディスプレイを作り出し、完璧なワークスペースにしたり、Macのパワフルな機能をVision Proにワイヤレスで組み込んだりすることもできます。
夢中になれるエンターテインメント体験
2つの超高解像度ディスプレイに広がる2,300万ものピクセルにより、Apple Vision Proはどのような場所でも、先進的な空間オーディオシステムに対応し、幅30メートルにも感じられるスクリーンを備えた、自分だけの映画館に変身します。ユーザーの皆様は、映画やテレビ番組、息を呑むような3D動画のほか、空間オーディオに対応した180度の高解像度録画を提供するApple Immersive Videosを通じて、まったく新しい場所へと誘う、臨場感あふれるエキサイティングなビデオのラインナップを楽しむことができます。
空間コンピューティングは包み込まれるような臨場感の領域に広がる新しいタイプのゲーム体験を可能にし、プレイヤーをまったく新しい世界へと連れ出します。さらに100を超えるApple Arcadeのゲームを驚くほど臨場感のあるオーディオとともに、好きなだけ大きな画面で楽しめるほか、人気の高いゲームコントローラーにも対応します。
臨場感あふれる環境
環境ビューでは、ダイナミックで美しい風景とともに、実際の部屋の大きさを超えてユーザーの世界が広がるため、ユーザーは気が散ってしまいそうな雑然とした場所でも、コンテンツに集中できます。また、Digital Crownを回転させることで、ユーザーはどれだけ実世界に意識を向けるか、どれだけApple Vision Proの環境に浸るかをコントロールできます。
大切な思い出を何度も体験できる
Apple Vision Proに搭載された3Dの写真やビデオに対応するApple初のカメラを使って、ユーザーは空間オーディオとともに記録した大切な思い出に浸り、再び体験することができます。空間再現写真と空間再現ビデオは、友人とのお祝いや家族との特別な集まりなどの過去の瞬間へとユーザーを連れ戻し、何度でも体験させてくれます。ユーザーはiCloudの写真ライブラリ全体にアクセスして、写真やビデオを実物大のスケールと鮮やかな色、圧倒的なディティールで再現できます。iPhoneで撮影したパノラマ写真はユーザーを包み込むように広がり、まるで写真を撮影した場所に戻ったかのような感覚を生み出します。
FaceTimeが空間体験に対応
Apple Vision Proでは、FaceTime通話にユーザーの周囲のスペースを活用して、通話に参加している全員を等身大に映し出し、空間オーディオによりそれらの人物が見えている位置から直接話しかけているかのように音声を再現します。FaceTime通話中にApple Vision Proを装着しているユーザーは、Personaとして映し出されます。PersonaはAppleの最も先進的な機械学習テクノロジーにより生み出されるデジタル表現で、ユーザー自身の姿、顔や手の動きをリアルタイムで再現します。ユーザーはほかの人と一緒に映画を視聴したり、写真を見たり、プレゼンテーションに共同で取り組むこともできます。
アプリ体験がさらに豊富に
Apple Vision Proにはデベロッパが開発したアプリやコンテンツが見つかる新しいApp Storeが用意されているほか、iPhoneやiPadでお馴染みの数十万ものアプリもスムーズに動作し、Vision Proのために開発された新しい入力操作システムと自動的に連係します。また、Appleのデベロッパコミュニティの皆さんはさらに一歩進んで、Vision ProとvisionOSのパワフルかつユニークな機能を活かし、これまでにないアプリ体験をデザインしたり、既存のアプリを空間コンピューティングに合わせて再構築できます。
visionOSのために新たに開発された3Dインターフェイスは、ユーザのいる現実の世界に存在するかのような視覚と感覚でデジタルコンテンツを再現し、自然光にダイナミックに反応して陰影を投じることで、空間と物の大きさを把握できるようにします。さらに空間体験の操作を実現するため、Apple Vision Proではユーザーの目と手、声によりコントロールする世界でも初となる入力操作システムを採用しています。視線を向けるだけでアプリをブラウズできるほか、項目をつまむようにタップして選択したり、手首を上下左右にさっと動かしてスクロールしたり、声で文字を入力することも可能になります。
Apple Vision Proのもう一つの大きな特長に、身の回りの実世界とのつながりを保つための驚異的なイノベーション、EyeSightがあります。Apple Vision Proを装着しているユーザーに誰かが近づくと、ユーザーが相手を認識できるようデバイスから周囲が見通せるようになり、同時にユーザーの両目をデバイス上に映し出します。また、EyeSightはユーザーが環境に入り込んでいたり、アプリを使用している時は、ユーザーが何に集中しているのかを視覚的に周囲に見えるようにします。
常識を打ち破るデザイン
Apple Vision Proのコンパクトなデザインには目を見張るような量のテクノロジーが詰め込まれています。 ラミネート加工が施され、磨き上げられた立体的な一体成形のガラスは、Vision Proに搭載された幅広いカメラやセンサーのレンズのような働きを担い、現実の世界とデジタルコンテンツを融合させるのに必要不可欠となっています。このガラスがユーザーの顔にそって滑らなカーブを描くアルミニウム合金のフレームへと流れ込むように組み込まれており、フィット感をカスタマイズできるモジュラーシステムにより幅広い人に対応します。柔らかい生地で作られた遮光パッドは、ユーザーの顔に最適なフィット感に調整できるよう、複数の形状やサイズが用意されています。柔軟な調整が可能なストラップは常にユーザーの耳に近い位置で音声が再生されるようサポートし、複数のサイズから選べる3Dニット構造のヘッドバンドはクッション性と通気性、伸縮性を提供します1。ヘッドバンドはシンプルな仕組みにより取り外しできるため、 別のサイズやスタイルのバンドに簡単に交換できます。
ハードウェアに組み込まれた比類ないイノベーション
Apple Vision Proに組み込まれた画期的なイノベーションの数々は、独自に設計されたデュアルチップデザインを持つAppleシリコンによって実現されています。M2チップは単体で機能するための比類ないパフォーマンスを提供し、新たに開発されたR1チップは、12のカメラ、5つのセンサー、6つのマイクロフォンからの入力を処理し、コンテンツがユーザーの目の前に現れるような感覚を生み出します。R1は瞬きの8倍高速な12ミリ秒で新しいイメージをディスプレイにデータストリームとして伝送します。Apple Vision Proは電源接続時には一日を通しての使用が可能で、高性能の外部バッテリー接続時には最大で2時間使用できます。
業界トップレベルのプライバシーとセキュリティ
Apple Vision Proはプライバシーとセキュリティの強固な基盤にもとづき、ユーザー自身がデータを管理できるように設計されています。
②Microsoft 『Hololens2』
HoloLens 2はビジネスの現場での使用に特に適しているMRヘッドセットです。その高度なセンサー技術とハンドトラッキング機能により、さまざまな業界での実用的な応用が可能です。医療、教育、製造など多岐にわたる分野でその効果を発揮し、作業の効率化やトレーニングの革新に貢献します。
主な特徴
- HoloLens 2は、高精度のハンドトラッキング、音声コマンド、アイトラッキング、空間マッピングなどを標準搭載し、長時間の使用でも快適に操作できるよう設計されています 。
- HoloLens 2を使用することで、リモートにいる同僚や専門家とリアルタイムで繋がり、共同作業を行うことが可能です。これにより、問題解決やプロジェクト進行が迅速に行えます 。
- クラウドサービス「Azure」との連携により、HoloLens 2の機能が拡張されます。たとえば、「Spatial Anchor」を使い、異なるデバイスで共有される3Dモデルをリアルタイムで確認できたり、「Remote Rendering」を利用して、高精細な3Dモデルをストリーミングできます 。
- 教育分野では、HoloLens 2を使って、3Dモデルを通じて複雑な概念を分かりやすく伝えることができます。医療分野では、治療計画の策定やリモート専門家との協力に役立ちます 。
解像度 |
片眼あたり2K以上 |
視野角 |
対角に約52度(垂直28.5度、水平43度) |
被写界深度(DoF) |
6DoF |
入力方法 |
|
価格(2024年1月現在) |
422,180円 |
重量 |
566g |
③Meta『Meta Quest 3』
画質について
Meta Quest 3は、これまでで最も解像度の高いディスプレイとパンケーキレンズを組み合わせています。
さらにプロセッサには次世代「Snapdragon」チップセットを搭載し、スムーズでクリアな映像体験を実現。Meta Quest 2と比較すると、2倍以上のグラフィック性能とされています。
MR機能について
周囲のリアルな環境とデジタル情報を同時に体験できるMR(Mixed Reality)。Meta Quest 3には2つの4メガピクセルのRGBカラーカメラが搭載され、Meta Quest 2と比較して10倍以上の画素数のパススルーなどで、さらに進化したMR体験ができます。
トラッキングについて
コントローラーのデザインも一新されました。Meta Quest 2にあったトラッキングリングがなくなり、扱いやすいコンパクトなデザインに。
「Meta Quest 2」と「Meta Quest 3」のスペックを表でまとめました。
機種 |
Meta Quest 2 |
Meta Quest 3 |
価格 |
128GB 47,300円 256GB 53,900円 |
128GB 74,800円 512GB 96,800円 |
解像度 |
3,664 × 1,920 |
4,128 × 2,208 |
リフレッシュレート |
72/120Hz |
90Hz/120Hz |
垂直方向の視野角 |
96° |
110° |
水平方向の視野角 |
96° |
96° |
プロセッサ |
Snapdragon XR2 |
Snapdragon 第2世代 (グラフィック性能は2倍) |
カメラ |
モノクロ |
カラー |
ヘッドセット重量 |
504 g |
約512g |
ヘッドセットカメラ |
4個 |
2つの4MP RGBカラーカメラ 深度センサー |
充電器 |
充電コード |
充電コード |
④HTC『VIVE XR Elite』
VIVE XR Eliteは、HTC社が開発した最新のXRヘッドセットです。この高性能オールインワン型XRヘッドセットは、軽量で折りたためる設計が特徴で、持ち運びにも便利です。VIVERSEと呼ばれる独自のメタバース環境での利用にも最適で、ビジネスシーンでの応用も想定されています。
主な特徴
- バッテリー込みで重量わずか625g。人間工学に配慮したデザインで、長時間の使用でも快適です。
- 無段階のIPD調整や焦点距離ダイヤル機能により、快適な視聴体験を提供します。
- フルカラーRGBカメラによるパススルー機能で、リアルタイムオーバーレイを取り入れたゲームやトレーニングが可能です。
- 手だけで直感的な操作が可能。ナビゲーション、クリック、ドラッグ、スクロール、タイピングなどが行えます 。
解像度 |
片眼1,920 x 1,920(両眼3,840 x 1,920 ) |
視野角 |
最大110度 |
被写界深度(DoF) |
6DoF |
入力方法 |
ハンドトラッキング、音声操作 |
価格(2024年1月現在) |
179,000円 |
重量 |
625g |
⑤Pico『Pico 4』
Pico 4は、2022年10月7日に発売された新型VRヘッドセットで、軽量・高画質・スタンドアロンの三要素を備えたモデルです。重心バランスによって「軽く感じられるように作られている」とされ、長時間の使用でも快適です。
このデバイスは、高解像度の4Kディスプレイを採用し、クリアな映像体験を提供。VRフィットネスやゲーム、プライベートシアターとしての利用に最適です。
主な特徴
- レンズが搭載された正面部分と、バッテリーが内蔵された後頭部がカウンターウェイトとして機能し、軽量感を実現します。
- 正面部を薄く設計し、パンケーキレンズを採用することで、より広い視野とクリアな映像を楽しめます。
- 4K(2,160 × 2,160×2)相当の解像度を持ち、映像の鮮明さと発色の良さを実現しています。
- 外部の様子を確認できるフルカラーパススルー機能を備え、VRヘッドセット装着中でも現実世界を視認できます。
解像度 |
片眼2,160 x 2,160(両眼4,320 x 2,160) |
視野角 |
105度 |
被写界深度(DoF) |
6DoF |
入力方法 |
両手コントローラー、ハンドトラッキング |
価格(2024年1月現在) |
49,000円(128GB)、59,400円(256GB) |
重量 |
295g(ストラップなし)、588g(ストラップ込み) |
【まとめ】
ARグラス(拡張現実グラス)やMRデバイス(混合現実デバイス)は、現実世界とデジタルコンテンツを融合させる革新的なテクノロジーです。これらのデバイスは、私たちの日常をより豊かに、よりインタラクティブにすることができます。現実の世界にデジタル情報を重ね合わせることで、ユーザーにより豊かな体験を提供します。例えば、観光地での案内や修理作業の手順の表示など、さまざまな場面で活用されています。
一方、MRデバイスは、ARに加えて仮想空間も提示し、現実と仮想の世界をシームレスに統合します。これにより、より高度なシミュレーションや訓練、エンターテインメント体験が可能になります。これらの技術は、教育、医療、製造業など、さまざまな分野で革新的な解決策を提供する可能性を秘めています。
注目のARグラス・MRデバイスは、私たちの未来を変え、より豊かな体験を創造するための重要なツールとなるでしょう。